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「佐助!お館様を見なかったか!」 軽く息を切らしながら走り立ち止まった幸村の目の前に、がさりと音を立てて木 の葉が舞い散る。 枝葉の間から逆さにぶら下がるようにして佐助が顔を出した。 「あれ、旦那は軍議に参加してないんだ」 「そうか…まだ軍議の最中であったか。某今回は別動隊故、ゆっくりと休むよう にと言われておるのだが…」 「……の割には随分息を切らしてるけど」 軽く呆れたように佐助は幸村の全身、上から下まで眺めた。 ざっくりと荒く切り揃えられた髪は汗ばんだ頬に張り付き、遠目に見ても土埃を 被って汚れているように見えた。 それにここまで走ってきただけにしては随分と大きく胸を上下させている。 まだ呼吸が整わないのか、その度に豊かな乳房がふるふると揺れるのが見えた。 (随分と成長したなー…) 恐らくつい先程まで鍛練でもしていたのだろう。 図星を突かれて幸村はうっと言葉を詰まらせた。 「し、仕方がないであろう…戦前で気がたかぶっておるのだ!お館様のお役に立 つ絶好の機会を目の前にしてじっとなどしておれぬ!!」 (でもそういうとこは変わんないわけね) これでは何を言っても無駄だろうな、と佐助は軽く溜め息をついた。 もちろんお館様が休んでおくようにと言ったのには理由がある。 今回の戦の相手は上杉軍。 幾度も刃を交えてはその度に決着がつかない手強い相手だ。 戦がどれほど長引くかもわからないし、相手が相手だ。 念には念を入れて、用心するに越したことはない。 だというのに幸村はお館様に言われたにも関わらずじっとしていられないらしか った。 「気持ちはわかるけどいくら旦那でも今回ばかりは用心しないと途中でばてちゃ うかもよ?」 忠告も兼ねて佐助はそう言ったが幸村の耳には届いてないようだった。 「佐助!暇があるなら少し鍛練に付き合え」 (ほらやっぱり) 結局その後程々に付き合いつつ、途中で幸村をなだめ鍛練を止めさせることしか できない佐助だった。 伊幸2
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「さて、と。外野が黙ったところでジャンジャンバリバリやろうぜー」 暗い沈黙をさらっと流して、佐助は腰を動かす。 思いやりが足りないと小言を言ってやるつもりで開いたかすがの唇は、たまらず嬌声を 放っていた。 乾くことを知らない蜜壷から、絶えず粘った音が漏れる。 「ん、んんっ」 尻を揺らしながら佐助の胸元を掴んでいると、肛門が熱を保ったままむずむずと疼いた。 そこに、 「かすが、なんか物足りないなーとか考えてるんでしょ?」 「えっ?」 「そういう顔してるじゃないの」 頬を両手で包まれ、顔を覗き込まれる。 見透かしたような目をして見つめてくる佐助に、かすがの胸は熱くなった。 そんなに分かりやすい顔をしているかしらと思い、無理に頬を引き締めてみると、佐助は 面白がって笑った。 「笑うなっ――くぅっ!」 「ケツの穴に欲しいんだろ? 言ってみなよー、ほらほらっ」 胎内で肉棒が意地悪く動く。 ――そんな恥ずかしいことが言えるか。 かすがは口を引き結んでじっと耐え、返答の代わりに膣を締め上げた。 早く射精してしまえばいいと思ってそうしたのだが、かすがの目論みは早々に見破られた ようだった。 卑怯者、と軽口を叩きながら、佐助が小太郎に指示を出す。 「あ、やぁっ」 白い尻肉を左右に開かれたかと思うと、小さな窪みに先端があてがわれた。 すっかりほぐされた穴めがけて、小太郎はゆっくりと体重をかけてくる。 「くうぅっ!」 「力入れちゃだめだって。はい、深呼吸ー」 子供をあやすような口ぶりで言った佐助が、かすがの体の強張りを解こうとするように背中に 手を回し、ぽんぽんと優しく叩いた。 「ふうう……はぁ、あう」 「吸って、吐いてー。吸ってー。うん、いい子いい子」 佐助の言うがまま素直に深呼吸をしてから、かすがは彼の態度に少し腹立ち眉を吊り上げた のだが、背と頭を撫でられる感触が心地いいものだったので黙っていることにした。 「んっ……はっ」 吐く息に合わせて、男根が挿入されていく。 共同作業をするように各自が己の役割をこなしていくうちに、奇妙な一体感がかすがの胸に 去来した。それが、肉体を満たされて感じる享楽と混じり合って意識を塗り潰していく。 繋がった部分にねっとりとこもる熱が、かすがを喘がせた。 「ああぁっ、ふぁっ、は、入ったぁ、あっ」 「あははっ、なんか変な感じー」 「…………」 薄い肉壁ごしに、ふたつの塊がかすがを圧迫する。それを感じたのだろう佐助が笑いながら、 かすがの尻に手を伸ばした。 氏政公がみてる16
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「ふ、んんっ、ん、むぅっ」 口の中に含んでいる肉塊と同種のものが、腹の中で躍動している。 それを思うと、全身を一本の棒で貫かれているような気分になった。 頬を凹ませてズズッと強く吸うと、佐助が息を弾ませながら笑う。 「すっげーやらしいのな、かすがってば。両方の口からよだれ垂らして男を咥え込んでさ、 自分でケツ振ってるの分かってる? そんなに嬉しいの?」 「んうっ!」 佐助はかすがを男根から引き離すと、上気した顔を氏政の方へ向けさせた。 「ほらほら、しっかり見られてるんだから。もっとお上品にしなきゃだめでしょ」 「あっ、あ、あっ……」 氏政の視線を正面から浴び、かすがは切れ切れにため息を漏らした。 佐助はかすがの頭を自身の肩に乗せた。かすがの顔と氏政の顔が向き合うかたちにすると、 手で乳房を愛撫する。 よがり声を上げるのを間近で見られ羞恥心に頬を染めたかすがに、小太郎が強い一撃を 見舞った。 「あ、あぁ……っ!」 あまりの勢いに、一瞬腰が浮き上がる。 続けざまに何度も突かれ、そのたびに高い声と肉のぶつかる音が響いた。 腰に響く打撃と快感が、かすがを頂上まで追いつめていく。 「んうっ、くあぁっ、あぁっ――あアッ!!」 「あー、ちょい待ち。勝手にイッちゃだめだからね。ほら、かすが、こっちこっち」 静止の声がかかると同時に、かすがはズルズルと佐助の胸を滑り落ちた。 肉塊を口に含み直すと、佐助の両手がかすがの頭に添えられる。小太郎が腰を進めるのに 合わせて、佐助は強引にかすがの頭を押さえつけた。 喉に先端がぶつかって、嗚咽が漏れる。 「んぐっ、うむぅうっ! っぐ、んんっ!」 佐助の手と小太郎の動きは徐々に速まり、かすがは快楽に翻弄されながら息を詰まらせる だけだ。 「じゃ、同じ忍同士の誼ってことで、仲良くイこうじゃないの」 「…………」 楔を打ち込むように力強く押し入ってくる男根が、肉壁を激しく擦った。 「ふむぅっ、ふっ、んうーっ、んんんーっ!!」 何度目かにひときわ強い快感の波が押し寄せ、かすがは頭を上下に激しく揺すられながら 呻いた。 口の中に熱い液体が迸り、胎内では肉茎がびくびくと跳ねる。 嚥下しきれず口から滴り落ちた白濁が、唇と顎を汚した。 「んふう、んあ……っ」 崩れるようにその場に倒れたかすがの耳に、 「やー、出た出た。あっははっ、溜め込んどいてよかったなんて思ったの、初めてだわ」 軽い口調の佐助の声が響いた。 氏政公がみてる12
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「政宗様。何故同盟を?」 「簡単な話だ。俺はあいつが気に入ったってことだ。他に何か理由がいるか?」 「いえ」 言いたいことは山ほどあったし、主の気まぐれにこめかみの辺りがズキズキと痛みはしたが 最早同盟は結ばれたのだ。何を言っても無駄であることは分かっていた。 「それよりも小十郎。手練の忍とやりやったそうじゃねえか!」 どんな奴だ。と嬉しそうに聞いてくる政宗に対し、小十郎は露骨に不機嫌そうな顔をした。 「どうした?」 「……いえ」 小十郎の刀の切っ先が、佐助の袖を大きく切り裂く。 露になったやけにほそりとした腕に、思わず注意をそらされた。 巨大な手裏剣が振りかざされると同時、切羽つまったような、佐助の主の声が聞こえてきた。 ぴたり、と首元で刃を止め、もうちょっとだったのに。とわしわしと髪を乱す。 その腕はやはり、あれほど巨大な手裏剣を振り回すに似つかわしくないほど、細かった。 「……ちょっと。旦那が呼んでるんだから放してくれない?」 思わずその腕を掴んでしまっていたらしく、佐助が困ったように呟いた。 「あ、ああ。すまねえ」 そっと放し、じっと握っていた手を見つめる。 そして、ある一つの結論に辿り着いた。 「おい忍。てめぇ、ひょっとしてくノ一か」 ぶつぶつ言いながら先を歩いていた佐助が、驚くべき速さで振り返る。 目をぱちくりとさせ、なんで。と呟いた。 「なんで、って。そんだけ細けりゃ分かるだろ。身体の線を誤魔化す為にその服なんだろうし」 「……俺様、旦那に初めて会ったとき、本気で男に間違われたんだけど」 「胸がないからじゃねえか?」 「ちょっと、それ気にしてる!」 「男として生きてるなら問題ねえだろ」 「それとこれとはまた別の問題なの!」 息荒く力説する佐助を見て、賑やかな奴だと妙な感慨を覚えた。 ああ、けれども。目の前のこの忍がくノ一ならば。 自分は女に不覚を取ったことになるのではないだろうか。 そこまで思い当たって、小十郎は思わず眉をひそめた。 「どうしたのさ、凶悪な面、更に凶悪にしちゃって」 行かないの?と首を傾げる佐助に、怒りすら沸いてきて。 「あ、ちょっと。ねえ、折角だから一緒に行こうってば」 追いかけてくる佐助を無視して、さっさと政宗の元へ歩き出した。 いずれ生まれ来る日の為に6 佐助の服に、切り裂けるような袖なんかないことに、投稿したあとになって気がつきました。 袖のある服でも着てたってことにしといてください……
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佐助がいるからと幸村はあまり後方に注意を払わないのをいつも叱られていた。 「ついてくる気か」 「当たり前じゃない」 軽い動きで佐助は幸村の前まで歩み寄り、すっかり精悍さを増した頬を摘んだ。 「俺は旦那の忍びなんだから」 いつも、『ゆき』が漂わせていた儚さなど感じとれなかった。 わずかな段差を上がるのにも難儀するような身体だったはずなのに、今の佐助の動きは昔のように滑らかで僅かな隙さえ見あたらない。 「…やめよと言うても聴かぬのだな」 佐助の身を案じながらも、込み上げる歓喜を抑える事は出来なかった。 花の名はもう呼べない10
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濃姫 長曾我部×濃姫 若魔王×濃姫 蝶と狂(光秀×濃姫) 信長×濃姫 ザビー×濃姫(陵辱) 濃姫×信玄陵辱(お館様凌辱(2 643)の改訂版) 濃姫×蘭丸 元親×濃姫 陵辱 慶次×濃姫 信長×濃姫 まつ 毛利×まつ(鬼畜) 幸村×まつ 利家とまつ 『それから。』 利家×まつ (毛利軍兵/元就)×まつ(陵辱) かすが かすが(凌辱)(北条×かすが) 謙信(男)×かすが 『佐助、手帳』 佐助×かすが(陵辱?)(ネタ度高) かすが×蘭丸(逆強姦) かすが凌辱(鬼畜) かすが×謙信様(ふたなり)(逆強姦) 『狂堕』 佐助×かすが 忠勝×かすが(解説・家康 強姦) 氏政公がみてる(小太郎・佐助×かすが、忠勝×かすがの続き) 市 毛利×市(鬼畜)(毛利×まつ(鬼畜)の続編) 長政×市 長政×お市 市 一人遊び 謙信 信玄×謙信(女) 『星合の空』 かすが×謙信(女) 信玄×謙信女(佐助×かすがもあり) 愛姫(政宗正室) 伊達(藤治郎)×愛姫 政宗×愛姫 防衛戦 可愛(元就娘) 可愛⇒元就(近親相姦) 熙子(光秀正室) 明智夫婦
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自分の思惑通りになってくれたかと思うと、たちまち倍返しでお返しされてしまう。 (ちぇっ、なんてぇ御方だよ…俺様遊ばれてばっかじゃん…) 佐助は面白くない。ぶすっとした顔で、ため息をつく。 しかし謙信の様子をよくよく見ていると、 (ん…?) 謙信の指先が震えているのに気付く。 (へぇ、意外…完全に吹っ切れたもんだと思ってたけど…) 余裕気に戯れてみせるのは、自分の羞恥を紛らわすための行為だったか。 (馬鹿だねぇ…負けず嫌いも程々にしときゃいーのに…) 女の強がりはそんなに嫌いじゃない。 そうむきになって怒ることもないか、と大目に見てやることにする。 いやしかし、他人事に気を取られている場合ではない。 「さ、佐助…?」 かすがが驚いた顔で佐助を見ている。 「あー、っと…」 とっさの言い訳が思いつかず、引きつり笑いのまま目を泳がせる佐助。 「その、お前…」 かすがは相変わらずムッツリした顔をつくりつつも、少しだけ嬉しさを覗かせる。 「そんなに、興奮してるのか…?」 「んっと…まぁ、そんなとこ…」 意外な反応に戸惑いつつ、照れくさそうに返事をする。 それを聞いて、かすがの奥がきゅ、きゅ、と反応してしまう。 「あっ…」 思わず声を漏らし、しまった、という顔をしたので 「んっ……ひょっとして…俺のシコってるとこ、想像してんの?」 佐助は即座に責めに転じる。 「べっ、べつに…そんな訳ないだろっ」 「へぇ…そいつはまた…」 「違うっ!違うからなっ!何が楽しくて、お前の…」 シコってるところを想像してその先が言えなくなってしまう。 「くそっ、お前が変なこと言うから…」 「…考えちゃったの?」 「くっ…」 また赤面する。あまりにも分かりやすい反応を見せてくれるので、佐助はつい からかいたくなる。 「…んっふふ、かすがも案外すけ」 「お前、それ以上言ったら…殺す…っ」 「そう?殺すんなら、こっちでお願いしたい所だがねぇ……んっ、ほらっ」 かすがの中で指をぐいっ、ぐいっ、と動かしてやると 「はっ、あっ…ああっ…するなっ…」 と言いながらも、自分から腰を揺らしてしまう。 (あぁっ、いけね…かわいすぎて、だめだわ俺…) かすがが愛しい。胸が苦しくてたまらない。 彼女の顔を見上げながら火照りきった部分に思い切りしゃぶりつく 「きゃああっ!」 叫んでしまうくらいの強烈な快感が、かすがの下半身を襲う。 「あはぁ、いい声…」 佐助は舌を思い切り伸ばしてかすがの滴らせる密を味わいつつ、 固さを取り戻しつつある自分のモノを力一杯握りしめる。 武田軍×上杉軍52
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登録日:2012/02/27(月) 22 01 18 更新日:2022/07/22 Fri 00 10 58NEW! 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 サスケェ ドM ドS 三味線 中編 元祖暴力系ツンデレヒロイン 大阪府 小説 春琴抄 盲目 読みづらさに定評のある小説 谷崎潤一郎 谷崎潤一郎 ←マゾヒズム小説家 『春琴抄(しゅんきんしょう)』は日本の小説。 著者は谷崎潤一郎、発表は1933年。 ◆あらすじ 大阪道修町の薬種商鵙屋に生まれた盲目の美少女・春琴には、幼少時より共に過ごしてきた佐助という奉公人がいた。やがて三味線の師弟という関係になった二人は、家を出て同棲を始める。 わがままな春琴に献身的に尽くす佐助。しかしある日、春琴は何者かに襲われ顔面に熱湯を浴びせられてしまう。 ひどい火傷で爛れた顔を見せたがらない春琴に対し、佐助は自らの目を針で突いて彼女と同じ盲目の世界に入る……。 ◆登場人物 春琴(しゅんきん) 本作のヒロイン。大阪の薬屋に生まれた女性。 少女時代に失明するも音楽の才能を発揮し、三味線の師匠の元に通っていた。のちに佐助と共に家を出て三味線教室を開く。 並外れた美貌を持ち、37歳の時でさえ二十代に見えるほど。 甘やかされて育ったのと病気の影響で性格が歪み、わがままで誰に対しても高慢で暴力的。そしてドS。 自分の弟子に「お前達の演奏より私が飼ってるウグイスの声の方が綺麗」とか言ったり、バチで頭をぶん殴ったりする。その性格が後年の悲劇を招くきっかけに。 佐助に対しては重度のツンデレで、暴力の度合いも他人よりレベルアップする。暴力系ヒロインの元祖とでも言うべき存在。 しかし後年起こった火傷の事件以降はやたらとデレるようになる。 佐助とは両親公認の仲だったが、「別に奉公人のことなんか全然好きじゃないんだからねっ」と言い張り籍を入れなかった。でも子供四人作った。 佐助(さすけ) 本作の主人公。春琴の家に代々仕える奉公人の家系に生まれる。 少年時代、三味線の師匠の元へ通う春琴の送り迎えを務めていた。 これがきっかけで三味線に興味を持ち、こっそり練習していたが春琴にバレてしまい稽古という名のDVを受ける。 しかし佐助はそれをむしろ喜んでいたフシがある。つまりドM。 春琴と同棲を始めてからは一番弟子兼彼女の世話係として奔走する日々が続く。 後年に春琴が火傷を負った際は、顔を見ないでくれと言う春琴の望みに応えるべく自ら視力を失った。 それでも春琴の世話は万全で、風呂も着替えも世話し続けた。 彼が自分の目を突いたのは、事件以降デレ始めた春琴への拒絶ゆえである、という見方がある。 つまり自分のマゾな願望を満たしてくれるツンドラな春琴をこそ愛していたと言えよう。とんだ変態である。 利太郎(りたろう) 春琴の三味線教室に通っていたチャラ男。 春琴を花見に誘って口説くが盛大にフラれ、稽古でも不真面目な態度を取ったためにバチの一撃を食らって怪我をさせられる。 春琴を襲って熱湯を浴びせた犯人候補。 「私」 本作品の語り手。『春琴抄』は「私」が後年に見聞きしたものを語っている、という形式で進んでいく。 ◆余談 本作は文庫本にして70ページ前後の中編だが、現代の小説と比してなかなかに読みにくい作品であることが大きな特徴である。これはカギ括弧「」と句点(。)が極端なまでに排除され、文章と文章を区切らずに書かれているから。例を挙げると「(春琴は)いつの間にか平気な顔で佐助に手引きさせながら稽古に通っていたもうその時彼女と佐助との関係はほとんど公然の秘密になっていたらしいそれを正式にさせようとすれば当人たちがあくまで否認するものだから(後略)」(本文中より引用)ずっとこんな感じ。そのうえ普通の一文一文も長く、また改行も最小限なので中編ながら意外と読むのに時間がかかる。 幾度か映画やドラマ、舞台として上演・放送されたりしている。ストーリーがストーリーだけに朗読の題材となることも。作者自身による朗読や、『天空の城ラピュタ』のムスカ役で知られる寺田農氏の朗読CDなども存在する。読んだことがない、あるいは読むのを投げた人はこういったメディアミックス作品に手を出してみるのもいいかも。 追記・修正は押し入れの中で三味線を弾いてからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 佐助が女中と話してると嫉妬する春琴可愛い -- 名無しさん (2013-11-16 17 04 11) クーデレ -- 名無しさん (2013-12-05 22 02 12) いつの時代でも日本は始まってた -- 名無しさん (2013-12-05 22 41 47) これに限らず谷崎潤一郎のヤツはレベルが高すぎる。今の変態でも一線引く -- 名無しさん (2013-12-05 22 53 30) なんで春琴が佐助と関係を持ったかがよく分からなかった -- 名無しさん (2014-01-03 23 13 26) ↑何だかんだで佐助の事が大好きだから -- 名無しさん (2014-01-03 23 37 16) 源氏物語の時点で日本始まってますし しかしツンデレというか理不尽よりなんだな -- 名無しさん (2014-03-06 00 47 03) 子供のころ映画で見たけど、当時はなんで佐助は意地悪な春琴のことがそんなに好きなのかわからなかった -- 名無しさん (2022-07-22 00 10 58) 名前 コメント
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「お帰りなさーい。お風呂にする? ご飯にする? それともア、タ、シ?」 家に帰ると佐助が割烹着を来て厨に立っているので、小十郎は農具を落とした。 がらんげろんがろん、といい音がする。 「な……な……」 「呼んだでしょ?」 「いや……確かに、呼んだ、が」 「ま、探り直したい場所があっただけなんだけどね。ついでに寄っただけだよーん」 佐助はからりと笑ってカマドにかかった鍋の様子を見た。羹が出来上がっている。 料理の腕はどうなんだろう、と思ったが、鍋からは実にいい匂いが漂ってくる。 農具を片付け、帽子を取って手を洗う。鍋を覗くと、味噌と野菜のいい匂いから想像できる羹が出来上がっていた。 ふぅむ、と顎に手をやった。野菜の切れ端から味噌一欠けらまで無駄にしない見事な処理能力。 戦場で培ったのだろう「全部ぶち込んで煮る!」という料理は、嫌いではない。 握り飯が握られている。掌に余るほどの大きな握り飯は真田流だろうか。 「呼んだってことは」 佐助の顔が近い。にいっと笑う顔は女そのもので戸惑いを覚えた。 「そういう、こと?」 顔に血が昇った。色気も何もない顔が艶やかに笑うというのは、かなりまずい。 「そういう、つもりじゃねぇ」 「いいんだよ? 俺は、いつだって」 顔を誤魔化すために小十郎は布巾を使って鍋を上げた。茣蓙の前に置き、茣蓙に座る。 佐助は割烹着を脱いで前に座った。お椀や玉じゃくしなどは全部奪われたため、よそってもらう。 なんとなく、恥ずかしい。 「いっただっきまーす」 ぱん、といい音を立てて佐助が手を合わせる。小十郎も軽く頭を下げて手を合わせた。 「いやぁ、あったかいご飯って久しぶりだわ。あ、ねぇねぇ、お漬物ある?」 「糠床なら厨にあっただろ。適当に食え」 わーいっ、と佐助は無邪気に笑う。小十郎は顔を伏せて羹をすする。 京の薄く上品な味付けとは違い、野性味溢れるいい味だ。 「でも一番食べたいのはさあ」 音もなく佐助が小十郎の隣に座る。小柄でしなやかな体が、腕を取って絡みついてくる。 先ほどまで微塵も感じなかった、濃密な女の気配。 「アンタなんだよねぇ……」 伸びてきた手を払い、握り飯にかぶりついた。塩と梅干だけの他愛ない握り飯だが、 単純だからこそ米の味が引き立っている。 「黙って飯を食え。――俺は、お前をそういう目で見たくない」 「じゃあ……どうしたら、見てくれるのかなぁ……」 耳元に吹きかかる甘い息。ぞわりと体が粟立った。 細い、肉感的とは言い難い体。男とも女ともいえないような、人の匂いのしない体。 なのに立ち昇る気配は女をこれ見よがしに漂わせ、小十郎を誘う。 これが忍びの手かと感心する。 久しく女を抱いていない小十郎のどこに訴えればいいか、この女は分かっている。そして誘う。 そうやって、何を得る? 京の情勢など、一介の農夫が事細かに知るはずがない。 「何が、目的だ?」 「あ、ひっどーい。人が折角何の利益もなしに男に迫ってるのに」 「俺に言い寄る連中は、大抵何か目的があった。苦界から抜けたい遊女。出世を望む小姓。 片倉に取り込みたい女中。――お前はどれなんだ?」 「どれでもないよ。強いて言えば」 手が伸びるが今度は拒まない。にやりと笑って口付けを受け入れる。 「あんたが気に入った。自分のものにしたい。抱かれたい」 がたん、と大きな音がした。戸が揺れた。そちらを見るが、人の気配はない。 「風だよ。野分じゃない?」 佐助は笑う。脂粉の香がきつい女よりよほど妖艶な笑みに息を呑む。 どこまで手を伸ばしても届かない政宗が天を駆ける竜なら、この女は何だ。 ――鴉。 高く空を舞い、気まぐれに地に降り立つ。人を惑わし、嘲り嗤う。 蒼天を駆る大きな翼は黒のようで紺のようで紫のようで、とても綺麗だ。 額の鉢金を落とす。佐助の目が細くなる。楽しそうに笑うが感情が読めない。 ――この女に嵌るのは危険だ。きっと、抜け出せなくなる。 そして小十郎を突き落とし、嗤って天に昇るだろう。 そういうことに慣れた女だ。 けれど、それでもいいかと思う。たとえからかい目的であっても好意を寄せられれば悪い気はしない。 「野分が近いとさぁ……体、疼かない?」 ゆっくりと押し倒される。唇の間から舌が覗いた。赤くいやらしい色をしている。 乗りかかり、腰を捻って佐助が笑う。 「悪くない眺めだな」 「そう? ねぇ……、あんたの女になってもいーい?」 佐助の腰に手をやって見上げる。灯りの乏しい室内でも、佐助の顔はよく見えた。 少女のようでもあり、慣れた女のようでもある。 本当に、何もかもが曖昧な奴だ。人かどうかも疑わしい。 こいひとよ11